最高裁判所第一小法廷 昭和28(オ)169 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告理由第一点は、本件の場合に買戻権行使の当時又はその事前に所論農地調整
法四条の地方長官の許可が存在することを要すると主張する。しかし、地方長官の
許可は、買戻権行使の要件ではなく、買戻権行使の効力発生要件と解するを相当と
する。買戻請求権は約定の期間内に行使することを要し、これによつて民法上は所
有権移転の完全な効力を生ずべきものであるが、農地調整法四条は特別の行政上の
考慮から該効力の発生を地方長官の許可に係らしめたに過ぎない。それ故、買戻期
間内に買戻権行使の意思表示が適法になされた場合には、地方長官の許可は事前に
なされると同時になされると事後になされるとを問わず、買戻による所有権移転の
効力を発生するものといわなければならぬ。従つて、これと同旨に出でた原判決は
正当であつて、論旨は理由がない。同第二点は原審において主張しなかつたことを
新に主張するものであり、同第
三、四点は単なる訴訟法違反の主張であり、すべて「最高裁判所における民事上告
事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三
号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含
む」ものと認められない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 真 野 毅
裁判官 斎 藤 悠 輔
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裁判官 岩 松 三 郎
裁判官 入 江 俊 郎
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